園内を案内してもらう(長文)


施設の管理をしている泉さんに話を聞きながら案内してもらう。どう回ったのか、文字に起こしてみる。


泉さんは平成15年ころから紅櫻公園で働いているそうだ。先代のころから勤めていることになる。長く勤めているし、園内をよく知っていることから、一緒に回ってもらうことで公園のことをもっと知る機会になるだろう。

「べにざくら本館」ジンギスカンレストラン前で会い、挨拶をする。そこから向かいにある新しくできた木の階段を上がる。途中に先代の園主奥矢将雄さんが毎日お参りしていた御神木がある。

そこから郷土資料がある社務所に行く。脱穀機や馬具、山の道具など昔使っていた器具が置いてある。他にも昔の写真や石の名前を記した色紙が飾られている。園内の特徴のある石や、大きな石には名前がついている。

向かいの開拓神社は大正期に建立され、ここに入植した奥矢家初代、作左衛門さんや二代目、金蔵さんなど14名の名がまつられている。鳥居の横に「紅櫻園」というタイトルの漢文が彫られた大きな石がある。この漢文も先代の将雄さんは毎日唱えてお参りしていたそう。

そこから、庭園の方に歩いて行く。句碑がいくつかある。手前の広場もキャンプの客で賑わっている。庭園部分は庭石が大小たくさんある。池もある。ちなみに池は園内に11箇所あり。ほぼ手掘りの人工池だそうだ。庭園を抜けたところにあるイチイの木も御神木だ。

そこから更に進むと、人工の滝が流れる池がある。水はポンプで池から汲み上げている。池には鯉がいる。池の横にある階段から園内の一番高いところに抜ける。泉さんはいつも園内を歩き回っているせいか、この坂道でも全く息が上がらない。広場には巨大な灯篭と祠に観音様が祀ってある。この観音様も将雄さんのお参りコースの一つだったそう。広場は2年前、アートアニュアルでアーティストの高石さんが大きな穴を掘ったところだ。広場には現在、梅を植樹してある。この広場の向こう側、隣の敷地を覗くと、山の斜面にソーラーパネルが広がっていた。

そこから、下っていくと、泉さんがイチイの間に立った。木の間を覗くと、庭園とレストランの屋根が見える、眺めの良い場所だ。泉さんはここの風景が好きなのかもしれない。更に行くと地層がむき出しの斜面がある。ここはもともと火山灰の山で、そうした地質がよく見える。この山を先代は切り崩し、石を運び入れて、池を掘ったそうだ。

ここから更に下り、蕎麦屋と茶室がある茅葺き屋根の日本家屋へ行く。厚く茅が積まれた立派な屋根。建物のなかも大木でできた梁や石を積んだ内装など趣向が凝らされている。職人さんを呼び寄せて建てたそうだ。門のところをよく見ると施工した人の名前やできた年が書かれており、うっすら見える。

そこから、先代が住んでいたお屋敷の方に向かう。いつもは入れない箇所だ。家の前には畑があり、大根やハーブを植えている。園内蒸留所で生産しているジンにも使っている。大根は大きくなりすぎて、トウがたち花が咲いている。畑の横を通って倉庫に向かう。向かいにはたくさん薪がつんである。歩きながら屋敷とこの前の土地だけでも十分に広いなあと感じる。


次に駐車場に向かう。ここにも滝が流れる池があった。今は水を張ってないが、昔は結婚式場があった時は水が入っていたそう。そこから、元の結婚式場入り口の途中に、広めの野原がある。以前は先代の弟さんの家があったそう。

次は駐車場に面したところにあるSAKURAホールと呼ばれている広い建物。ここは一番初め、アサヒビールのビアホールだった。その後犬と猫と交流できる施設になり、その後に結婚式場になった。現在はただのホールになっている。チャペルもある。天井は雲が描かれた青い壁紙で、印象的。天井の一部に大きな穴がある。ここは、もともと沢だったところに建てているせいか、少し湿気を感じる。

ホールを出て、公園の一番低いところに行く。小川が流れている。現在はいくつかの池と新しくキャンプ場になったエリア、さらには釣り堀がある。キャンプ場のところは戦時中、田んぼだったそう。社務所・資料館に脱穀機があったのはそのせいかもしれない。キャンプ場は今年から始まった。今日は予約で満員だそうだ。

釣堀の池を通り過ぎて、奥の小さい駐車場にでる。駐車場の端っこに「一貫」と書かれた石碑がある。そこからさらに坂を登る。途中に太鼓橋がある池を通り過ぎる。べにざくら別館のほうに登って行くもう一つの小道の途中、もう一本の御神木がある。

坂を上りきると、右手には先代の旧住居、現在の事務所の建物がある、向かいには倉庫兼作業場、バスやトラックも駐車している。倉庫兼作業場には、大きな薪ストーブがあり、冬囲い用の縄が干してある。大量のガラス瓶は蒸溜所のジン用だ。以前チャペルで使われていた木製の椅子が二階に片付けられているのが網越しに見えるが、その場所は以前鳩を買っていたときの小屋だそうだ。

そこから倉庫隣の蒸溜所の前を通る。この蒸留所は、もともと倉庫だったところを改装して使っている。3年前新しいオーナーになってからできた。リノベーションされて外壁も内装も綺麗になっているが、両側に円形の扉がついているムロ(物置)は以前の建物をそのまま生かしている。この一角は建物も改装し、新しい木の階段もあり、現代的になっているエリアで、世代交代した新しい紅櫻公園を感じる。ここから徐々に改装が進んでいくのかもしれない。

こうして、はじめの「べにざくら本館」に戻ってきた。泉さんは、本当に丁寧に公園内を案内してくれた。こうして書き出してみると、それがよくわかる。良いツアーだった。私もこんなにうまくツアーができるかな。

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